大学時代から英米小説が大好物でディグってきていましたが、最近現代韓国の純文学のふがいなさや、幻想文学の浮遊感などにもフィールド広げています。
本屋さんや図書館で気になって「次はこれ読もう!」とメモってる今年読みたいリストを公開してます。
読みたい本との電流が走るような出会いを探している方、チェックしてみていただけると幸いです。
- チェ・ウニョン「明るい夜」
- カレン・ラッセル「オレンジ色の世界」
- 窪美澄「夜空に浮かぶ欠けた月たち」
- マーガレット・アウトウッド「洪水の年」
- ルマーン・アラム「終わらない週末」
- 大濱普美子「陽だまりの果て」
チェ・ウニョン「明るい夜」
家父長制に翻弄されながらも植民地支配や戦争という動乱の時代を生き抜いた曾祖母や祖母、そして母、私へとつながる、温かく強靱な女性たちの百年の物語。
現代韓国純文学のアラサー世代の小説家たちに蔓延している女性としてのふがいさなさは、日本人としても突き刺さります。他人事では済まされない当事者として楽しめる分野。
前作「わたしに無害なひと」もとてもおすすめです。
2021年〈書店員が選ぶ“今年の小説”〉、第29回大山文学賞受賞
カレン・ラッセル「オレンジ色の世界」
悪魔に授乳する新米ママ、〈湿地遺体〉の少女に恋した少年、奇妙な木に寄生された娘、水没都市に棲むゴンドラ乗りの姉妹……。不条理なこの現実を生き残るための、変身と反撃の作品集。
あらすじ読んだところで異世界観が全編ビンビンの予感しかしない…!
「レモン畑の吸血鬼」があまりに好みドンピシャすぎて途中で読むのやめるくらい良かった。まだ未読の短編集を見つけてほっと一安心。松田青子さんが訳してます。
窪美澄「夜空に浮かぶ欠けた月たち」
東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。庭に季節のハーブが植えられているここは、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木(しいのき)メンタルクリニック」。キラキラした同級生に馴染めず学校に行けなくなってしまった女子大生、忘れっぽくて約束や締め切りを守れず苦しむサラリーマン、いつも重たい恋愛しかできない女性会社員、不妊治療を経て授かった娘をかわいいと思えない母親……。夫妻はさまざまな悩みを持つ患者にそっと寄り添い、支えていく。だが、夫妻にもある悲しい過去があって……。
初期作品から愛読していましたが、ここ数年の窪美澄さんの筆力は確実に上がっている、というかテーマに重圧感が出てきて読み応えがすごいです。
今後角田光代さんや山田詠美さんなどのレジュエンドクラスに食い込んでくるよなと個人的に期待。
マーガレット・アウトウッド「洪水の年」
遺伝子操作で新しい生物が次々に作られ、食べ物は合成物ばかり。人々は巨大企業とエリートたちに支配されている。人工世界に異議を唱えるエコ原理集団「神の庭師たち」と、その中で暮らす孤独な女性トビーと少女レン。
突然、新型ウイルスが襲ってきて地上は廃墟となる。偶然生き残ったトビーとレンは、それぞれの隠れ家で固唾を呑んで様子を窺う。圧倒的な構想力と息もつかせぬストーリー展開で読ませる近未来小説。(全2冊)
映像化されている「侍女の物語」のアウトウッドの作品。SF近未来ディストピア系であらすじを見る限り荒々しい展開なのですが、文体はあくまで穏やかなのがまたギャップ。
ルマーン・アラム「終わらない週末」
終末が、始まる?
束の間の休暇を楽しむ家族を襲う奇妙な現象の数々。
外の世界で起こっているのは、戦争か、疫病か、天災か。
ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホークなどによるNetflixのドラマ『終わらない週末』の原作。
ホラーは映像ではなく小説で楽しむ派なので今年ぜひ読もうと思っています。
大濱普美子「陽だまりの果て」
〈傾聴ボランティア〉の派遣先で出会った老婦人の作り話とも真実ともつかない昔語りと、主人公の過去現在が絡み合う交感の物語。(「ツメタガイの記憶」)
行きつ戻りつ繰り返される、老人の記憶の窓に映る追想。(「陽だまりの果て」)
老いを意識し始めた主人公が姉御肌の老女と出会い、かけがえのないものを託される。(「骨の行方」)
リアル友人に勧められた1冊「猫の木がある庭」は静寂の中に隠れているとんでもないものがうっかり見えちゃったゾクゾク感がすっかり病みつきに。
なかなか流通していないようなので、引き続き出会いを待っている1冊です。
ではまた。